
愛知労働局へ要請書を渡す様子
(愛知健康センター吉川事務局長 左)
3月は自殺対策強化月間にあたって、愛知働くもののいのちと健康を守るセンター(略称 愛知健康センター)は
3月
11日、愛知労働局に対して下記の要請をしました。
労働局からは厚生労働省に要請をあげるなどの回答がありました。
また、昨年度と同じく、労働局担当者による学習会の設定について合意いたしました。
今年は「労働時間について」と言うことで学習会を行います。
以下 要請書内容
職場におけるハラスメントおよび自殺防止等についての要請
1. 愛知健康センターの相談活動などの取組は、多くの自殺の危機にある人を援助している。公認心理師・産業カウンセラー、事務局員を始め善意と熱心な無償のボランティアに支えられている。新型コロナウイルス感染症による経済活動、労働環境及び職場内での孤立等の影響から、自殺リスクの高まりがあり、愛知健康センターのもとには過労パワハラ自殺を含む多くの相談が持ち込まれている。自殺対策基本法
22条に基づき愛知健康センターが行う自殺防止に関する取り組みを財政的に支援するよう要請する。
2. 過重労働、ハラスメントによって精神疾患になった場合(自死遺族もまた同様である)、精神疾患の症状が悪化して、長期間にわたって苦しみ、自殺リスクが高まる。そのような状況の被害労働者を救済する労働行政を行ってください。精神疾患の労災申請が増えているにもかかわらず、精神疾患の労災認定率は大変低く、パワハラやいじめの常態化など実情を反映していない。
a. 精神疾患の特性をふまえて、労災認定基準の抜本的見直しをしてください。
b. 精神障害発症から労災申請までの期間が
2年と決まっているが、個人にとっては労災申請及び調査に耐えられない場合があることをふまえて、医師の判断によって時効を停止してください。
c. 現行の精神疾患の労災認定基準はストレスイベント法によって基準が作られているが、これは、平均的労働者論に立脚したものであり容認することはできない。昨年度、行われた「ストレスの調査研究」は事前に登録された健康的な労働者に対して調査を行なっている。平均的な労働者など存在せず、また、心身の状況によっても大きく心理的負荷の大きさは変動する。
d. 労働者からの報告によれば、上司からのパワーハラスメントのみでなく、上司、同僚からのモラルハラスメントも多い状況がある。モラルハラスメントは隠蔽を伴い一対一の人間関係の中で周囲の誰にもわからないように行われる特徴がある。自殺に追い込まれた労働者の遺族はハラスメントの認定において、ハラスメントがあったことを立証することは困難である。この矛盾に対して労働局として申請者の立場に立って、どのように対応するのか、納得できる説明を聞きたい。
e. ICD11がこの
1月
1日から国際的に発効した。この
ICD11には複雑性
PTSDが新しく記載された。この複雑性
PTSDは現在日本でも問題になっているパワハラなどによって陥る精神疾患であり、この日本語訳をいただきたい。また、新しい精神疾患の労災認定基準にはこの複雑性
PTSDを記載等、最新の国際的知見を元に新しい基準を定めて欲しい。
3. 職場における自殺者の家族に対するポストベンション
職場における自殺者については自殺を防ぐ取り組みの一環として、社会的要因を含む自殺の原因など、「死因究明等推進計画」に基づき調査委員会の設置を積極的に事業主に対して促すこと。また、労働安全衛生法や「労働者の心の健康保持増進のための指針」に職場において自殺者が発生した場合のポストベンション(事後対応)として、死因究明等を重要な公益性を有するものとして位置付け、必要な死因究明等が実現される体制の整備を事業主に義務付けるよう法改正等を行うこと。
4. 令和
3年
3月
30日付の厚生労働省労働基準局の監督課長と補償課長の連名で都道府県労働局長にあてた文書「過労死等事案に係わる監督担当部署と労災担当部署間の連携について」(基監発
0330 第
6号・基補
0330 第
5号)について、説明の機会を作るよう求める。